こどもワクチンあんしんナビ
予防接種に関する、ちょっとした疑問や不安。
いっしょに考えてみませんか?
ワクチンの効果と科学的考え方
ワクチンがどのようにして病気から体を守るのか、その基本的な仕組みや、たくさんの情報がある中でどのようにリスクや確率を考えればよいのかを、専門家が動画で分かりやすく解説します。
【保護者向け】解説動画(準備中)
ここに、ワクチンの仕組みやリスクの考え方を解説する動画が入る予定です。
おこさまといっしょに - ワクチン、がんばろう!
お子さんと一緒に見て、これから行く病院や、経験する予防接種がどんなものか、なぜ大切なのかを、やさしくお話しするための動画です。注射が「チクッ」とすることを正直に伝えながらも、不安を和らげ、前向きな気持ちで臨めるよう応援します。
【おこさま向け】クリニックにいってみよう!
https://youtu.be/ba0UukTMswUどのようなことが心配ですか?
1. 副反応について
ワクチンの後の熱や腫れ、大切なお子さんのことだからこそ、心配になりますよね。そのお気持ち、とてもよく分かります。
実は、そうした反応の多くは、体の中でウイルスや細菌と戦うための免疫がしっかりと作られている証拠でもあります。いわば、体がきちんとトレーニングできているサインなのです。一方で、アナフィラキシーのような重い副反応は、交通事故にあうよりもずっと確率が低く、極めてまれです。それでも万が一に備え、医療機関ではすぐに適切な処置ができるよう万全の体制を整えています。
重い副反応として知られるアナフィラキシーは、100万接種あたり1〜10例程度と、極めてまれです。他の日常的なリスクと比較してみましょう。
※アナフィラキシーは迅速な処置で回復可能です。接種後15〜30分は院内で待機し、万が一に備えます。
2. ワクチンの安全性や成分について
「ワクチンには体に良くないものが入っているのでは?」と、成分に不安を感じる方もいらっしゃいますね。例えば、アルミニウム塩(アジュバント)のような添加物は、ワクチンの効果を高めるために、ごく微量だけ使われています。こうした成分は、実は私たちの身の回りの食品や水にも自然に含まれているものです。国が定める厳しい安全基準をクリアし、その有効性と安全性が十分に確認されたものだけがワクチンとして使用されています。
ワクチンの効果を高めるために含まれるアルミニウムの量は、普段の食事から摂取する量と比べてみましょう。
出典: 米国FDA, AAPなどのデータを元に作成
3. 自然にかかった方が免疫がつく?
「自然に病気にかかって免疫をつけた方が、丈夫で強い免疫がつく」という考え方もありますね。確かに、一度かかると二度とかからない強い免疫がつく病気もあります。しかし、それには時に命に関わる、大きなリスクが伴います。例えば、麻しん(はしか)は、1000人に1人が脳炎を発症し、後遺症が残ったり死亡したりすることがあります。ワクチンは、こうした危険な合併症のリスクを冒すことなく、安全に体へ病気を覚えさせ、免疫をつけるための、いわば「賢い近道」なのです。
リスク1:発熱 (38℃以上)
リスク2:脳炎・脳症
リスク3:死亡
出典: 国立感染症研究所、厚生労働省
4. 情報が多くて分からない
インターネットやSNSには、様々な情報があふれていて、「一体どれを信じればいいの?」と混乱してしまいますよね。特に、ワクチンに関する情報は、正反対の意見が目に入りやすく、不安になってしまうのも無理はありません。大切なのは、誰が、どのような根拠で発信しているのかを冷静に見ることです。個人の体験談や意見も気持ちを理解する上では参考になりますが、まずはお子さんの健康を守るための判断基準として、公的な機関の情報を確認するのが安心です。不安な点があれば、一人で抱え込まず、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。
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1
発信者は誰か?公的機関(厚労省、自治体)や専門機関(学会)の情報か、個人の意見や体験談かを確認しましょう。
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2
根拠はあるか?「〜と思う」「〜と聞いた」ではなく、研究データや統計など、客観的な根拠が示されているかを見ましょう。
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3
極端な言葉はないか?「絶対安全」「100%危険」のような極端な言葉や、いたずらに不安を煽る表現には注意が必要です。
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4
いつの情報か?医療の情報は日々更新されます。情報がいつ発信されたものかを確認することも大切です。
5. 同時接種は大丈夫?
「何本も一度に注射するなんて、赤ちゃんの小さな体に負担が大きいのでは?」と心配になりますよね。しかし、赤ちゃんの免疫システムは私たちが思うよりずっと強力で、毎日、目に見えないたくさんの細菌やウイルスと戦っています。同時接種によって、それぞれのワクチンの効果が弱まったり、副反応が強まったりすることはないと、世界中の研究で確認されています。むしろ、早く免疫をつけて子どもを病気から守れる、何度も病院に通う負担が減るといった大きなメリットがあります。
例えば、4種混合ワクチンとヒブワクチンを別々に接種した場合と、同時に接種した場合の主な副反応の頻度を比較したデータです。
| 副反応 | 単独接種 | 同時接種 |
|---|---|---|
| 発熱 (38℃以上) | 30〜50% | 40〜60% |
| 接種部位の赤み | 20〜40% | 30〜50% |
| 接種部位の腫れ | 20〜30% | 25〜40% |
ご覧の通り、同時接種で副反応の頻度が少し上がることはありますが、2倍、3倍になるわけではなく、安全性に大きな差はないことが分かっています。
出典: 日本小児科学会「日本小児科学会の考え方」等より作成
6. なぜワクチンは必要?
「周りでは誰もかかっていない病気なのに、本当にワクチンは必要なの?」と感じるかもしれません。そう思えること自体が、実はワクチンが普及したおかげなのです。ワクチンには2つの大きな目的があります。
1つは、お子さん自身を、重い後遺症や命の危険がある病気から守るため。もう1つは、社会全体を、病気の流行から守るためです。多くの人が接種することで病気の流行そのものを抑え、まだワクチンを接種できない小さな赤ちゃんや、病気などの理由で接種できない子どもたちも間接的に守ることができます(集団免疫)。
ヒブワクチンが定期接種になる前と後で、原因不明の細菌性髄膜炎(多くがHibによる)の患者数が劇的に減少しました。
出典: 国立感染症研究所のデータより作成
7. 将来、アレルギーや他の病気にならない?
「今の副反応は大丈夫でも、将来的にアレルギーや自己免疫疾患のような、別の病気の原因になるのでは?」という長期的な影響へのご心配ですね。世界中で何十年にもわたり、何億人もの人々がワクチンを接種してきましたが、ワクチンが原因で将来的に特定の病気が増えるという科学的な証拠は見つかっていません。むしろ、自然感染で重い合併症を起こすリスクの方がはるかに高いことが分かっています。
例えば、MMRワクチンとアレルギー疾患(喘息、花粉症など)の関連について、デンマークで行われた大規模な追跡調査の結果です。
MMRワクチンを接種した子と
接種していない子で、
将来のアレルギー疾患発症率に
差はなかった
このような研究が世界中で数多く行われ、ワクチンと将来の病気との関連は繰り返し否定されています。
出典: Hviid A, et al. JAMA. 2017
8. 自閉症との関連が心配
過去に「ワクチンが自閉症の原因になる」という説が広まり、今でも不安に感じている方がいらっしゃるのは、無理もないことです。しかし、この説の元になった論文は、不正があったとして完全に取り下げられています。その後、世界中の研究機関が何百万人もの子どもたちを対象に調査を行いましたが、ワクチンと自閉症との関連は医学的・科学的に完全に否定されています。
世界の主要な保健機関は、一貫してワクチンと自閉症の関連を否定しています。
「ワクチンが自閉症を引き起こすという証拠はない」
WHO(世界保健機関)、CDC(米国疾病予防管理センター)、日本小児科学会など
自閉症の原因はまだ完全には解明されていませんが、多くの場合は遺伝的な要因が関わっていると考えられています。ワクチン接種の時期と、自閉症の症状に気づき始める時期が重なることがあるため、誤って関連付けられてしまったのです。
9. 健康的な生活で十分?
「栄養バランスの取れた食事や、規則正しい生活を心がけていれば、免疫力が高まって病気にかからないのでは?」と考えるのは、とても素晴らしいことです。もちろん、健康的な生活は体の土台を作る上で非常に重要です。しかし、麻しんや百日せきのような感染力の非常に強い病気は、どんなに健康な子でも、ウイルスや細菌が体内に入れば感染を防ぐことは困難です。健康な生活は、いわば「頑丈な家」のようなもの。ワクチンは、その家の特定のドアや窓につける「専用の鍵」のような役割を果たします。
体全体の抵抗力を高め、様々な病気にかかりにくくしたり、かかっても回復を早めたりする。
特定の病原体(麻しんウイルスなど)だけを狙い撃ちし、その病気にかかること自体を防いだり、重症化を確実に防いだりする。
両方は対立するものではなく、両方があって初めて、お子さんの健康をより確かに守ることができるのです。
10. 接種は個人の自由では?
「ワクチンを打つか打たないかは、最終的に親が決めることで、個人の自由だ」というお考え、その通りです。日本において、予防接種は強制ではありません。しかし、その選択をする際に、ぜひ知っておいていただきたい視点があります。それは、ワクチンが「自分の子どもだけを守るもの」ではない、ということです。多くの人が接種することで、社会から病気の流行がなくなり、まだワクチンを打てない小さな赤ちゃんや、病気で打ちたくても打てない子どもたちの命も守ることにつながります。これを「集団免疫」と呼びます。
接種率によって、病気の広がり方がどう変わるか見てみましょう。
接種率が低い社会
接種率が高い社会
ワクチン接種は、お子さんへの「愛」であると同時に、社会への「思いやり」でもあるのです。